認定支援機関による日本政策金融公庫の融資制度
高い専門性を有する認定経営革新等支援機関(以下、認定支援機関という)による「経営支援」と、日本政策金融公庫の「金融支援」が一体となった融資制度を2つご紹介する。
これらの制度は、中小企業が日本政策金融公庫に融資を申し込む際、認定支援機関のサポートを受け「事業計画を策定する」という特徴がある。また融資後も、事業計画の達成状況を確認しながら、経営支援を受けることになる。
なお、事業計画書については、日本政策金融公庫HPからダウンロードできる。
http://www.jfc.go.jp/n/service/pdf/jigyoukeikaku_130306a.pdf
経営環境変化資金(経営支援型セーフティネット貸付)
売上が減少するなど、業況が悪化している事業者が利用できる融資制度である。平成24年度補正予算成立に伴い、「借入負担が重く(注)経営の改善を迫られている方であって、認定支援機関等の経営指導や助言等を受けて事業計画を策定する方には、基準利率から0.4%利率を引き下げる」ように拡充された。
(注)借入負担年数{(有利子負債+社債)/(経常利益÷2+減価償却費)}が13年以上
融資額は国民生活事業で4,800万円以内(中小企業事業で7億2,000万円以内)、返済期間は設備資金で15年以内、長期運転資金で8年以内となっている。
なお、「事業計画書」において、3~5事業年度を目途に、①借入負担年数が10年以内へ、②経常利益が赤字から黒字へ、③債務超過から資産超過へ、この内のいずれか又は複数を満たす計画であることが要件となる。最近の決算期において「経常利益が赤字かつ債務超過」の場合は、少なくとも②と③の両方をクリアする計画が必要となる。
さらに、融資後の達成状況、経営支援内容について日本政策金融公庫へ連絡が必要となる。この連絡が面倒と感じる経営者にはハードルが高い融資制度となるが、赤字債務超過という状況で新規融資が得られる可能性があるため、検討する価値はある。
http://www.jfc.go.jp/n/finance/search/07_keieisien_m.html
中小企業経営力強化資金(新企業育成貸付)
創業又は経営多角化・事業転換等の新たな事業活動をするにあたり、認定支援機関による経営支援を受け、新商品の開発等新たな市場の創出を目指す事業者が対象となる融資制度である。
融資額は国民生活事業で設備資金7,200万円以内、運転資金で4,800万円以内(中小企業事業は設備資金で7.2億円以内、運転資金で2.5億円以内)となっており、返済期間は設備資金で15年以内、長期運転資金で7年以内である。なお、国民生活事業の場合、1,500万円までは、無担保・無保証人で「基準金利-0.4%」が適用される。こちらも、融資後の達成状況、経営支援内容について日本政策金融公庫へ連絡が必要となる。
http://www.jfc.go.jp/n/finance/search/64.html
認定支援機関の約7割が税理士となっており、まずは身近な存在である顧問税理士に相談されるといいだろう。
2013.9.9執筆
(注)執筆当時の法律に基づいて書いていますのでご利用は自己責任でお願いします。
今村 仁
「節税は義務、納税は権利」がモットーです。
自分の半生について、取材を受けました。